久々にディスニーの凄みを感じる映画
おすすめ度
★ ★ ★ ★ ★
“Enchanted”
He was so enchanted, Henry Ⅷ spent
his honey moon here, again and again.
ロンドンのチューブの広告で見たHampton Courtの
宣伝文句だ。again and again のパンチ力とenchanted
の語法になるほどなぁ、と感心したので覚えている。
したがって、この「魔法にかけられて」という邦題、
目立たないが、けだし名訳だ。
この映画、最近下り坂のディズニー、しかもアニメと
実写の合成、とくれば駄作の匂いぷんぷんである。
私も、他の映画を見るつもりで、時間を間違えてこの
映画になってしまった。夜のため、観客は10人足らず。
おいおいと思っているまもなく始まり、しかものっけの
アニメでヒロインがかわいくない。これはどうなることやら、
と先行きに立ちこめる暗雲はそうとうのもの。
悪役のディズニーの絵に描いたような魔女兼女王は
王女の座を死守すべく、継子の王子の姫を遠隔地に
隠している(もっと簡単に殺してしまえば?と思うのだが
殺さないところもディズニー)。ところが、歌声につられて
王子と彼女は出会ってしまう。ここまで5分。異例の早さで
ハッピーエンドに向かうのだが、本作はここからがスタート。
結婚式の当日、魔女に井戸に突き落とされた姫のジゼルは
なぜかNYCに落ちてしまうのだ。
で、舞台はここから実写。彼女、実写版だと結構とうが
たっていて、二の腕もぷるぷる加減がいい感じであまり
お姫様っぽくない。もともと森の小娘だからいいのだが、
それにしてはいい歳である(これがだんだんかわいく
思えてくるから、なんかふしぎ)。
そりゃ、中世からNYCにくれば話はややこしい。彼女には
同情すべき点も多いが、相当馬鹿なのではないかと思わ
せるようなどたばたぶりが続く。この辺で少しうんざり。
夜になり、雨が降り、困りまくる彼女に出会うのが子連れ
のチョンガーである、離婚調停弁護士のロバートである。
娘に請われて彼女を家に連れて行き、一晩泊めてあげる
のだが、翌朝も続く彼女の奇行に相当うんざりさせられる。
そりゃそうだ。
しょうがなく職場に連れて行くが、彼女の発想がすべて
童話なのでおめでたいというかピュアで現実世界ではとんと
ずれまくる。特に彼の担当している離婚系の話とは全く
かみ合わない。このかみあわなさがなれてくるとそれなりに
おもしろいのだが、突然歌を歌ったりするミュージカル仕立て
は実写でも続いていて、リアルのなさをうまく表現している。
一方、姫を失った王子と姫を毒殺すべく王女から送り込ま
れた執事役も次々とNYCにやってきて、ここからNYCを使った
異邦人のロードムービーの様相も呈してくる。
出会ってから二日、彼は彼女の純粋さに惹かれ始め、
一方ジゼルも彼の物の考えに影響を受け始めて、お互い
微妙な雰囲気になったりするのだが、ご都合主義の映画
らしく、お馬鹿な王子がたくましくも彼女の居所を見つけ、
二人はめでたく、それぞれ収まるところに収まる。
でも・・・あれ、なんか寂しいや、と感じるロバート。
おかしいな、ロバートといる方が楽しいかも、と感じるジゼル。
おいおい、どうなるだよー。悪役はというと、事の進展しなさに
いらいらを募らせた王女もNYCに降臨。彼女を亡き者にしようと
毒リンゴを彼女に食べさせる。「悲しい記憶をなくす魔法」と
言われ、かじる彼女。とたんに崩れ落ちるジゼル。彼女を
救えるのは・・・おとぎ話なら、そりゃ、王子様のキスだ。え?
誰の??マジ・・・
アンチ・ディズニーがうまく映画を作ったらこうなるだろうと
言うような展開が次々に展開され、ディズニーどうしちゃったんだ?
としばし映画を見つつ呆然。あまりのブラックなネタにしばしば
哄笑。特に最後はそういう強引な展開かい!という勢いで
この辺はアニメならではの強引さをうまく利用している。
にしても、馬鹿な王子、おまえいい人過ぎるぜ、私なら
ジゼルがそうなって喜べるかわからないよ!一方でアニメの
説得力ってこういうところにあるんだよな、としばし感心。
リスのCGはうっとおしいし、ドラゴンの死に方は安直だし
(何で燃えるの?飛べないの?)、あんな屋根の上でほほえむ
なんて生身の身でありえない、とかいろいろ思うのだが、
勢いで納得させられてしまう。そのくせ、おとぎ話のような
心情もありだよね、と普通のアニメを見るよりも逆説的に
思わせてしまうのもすごい。現実の世界で酸いも甘いも
かみ分けている弁護士君とジゼルが果たしておめでたい夢
の世界で生き続けられるのか不安だが、まぁヨシとしよう。
音楽はアラン・メンケンで非常にいい仕事。そして
エンディングロールの映像が見事。彼女が現実世界に
いていいのかしらと思うけども、ともかくも驚きの2時間。
繰り返し見るかは怪しいが一見の価値は必ずある一品、
特にディズニーで気づけば育っていて、いつの間にか
見なくなってしまった団塊ジュニア世代が見るべき映画。
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