お勧め度 ★ ★
出演者と制作者、両者の情熱のみ評価される作品。
主人公の少女は見た目もよいし、アクションもすばらしいが、話自体は
破綻しており、こういう映画を見ると、他の映画がいかに、シナリオとし
て破綻していないかがしみじみと感じられる。「人間って、こんなふうな
動きができるんだ~」という楽しみをしたい人以外には見る価値のない
映画。これを見て、今さらながらスタートレックの評価を上げたくなった。
主人公の少女は、阿部寛とタイのヤクザの女の間に生まれたハーフだ。
阿部寛は抗争にケリを付けて日本に帰国してしまい、女はヤクザの元
を離れ、少女と2人つましく暮らしている。ところが、この親子には安穏
とした暮らしを維持するにはいくつか障壁が存在する。1つには少女が
知的?障害児であることだ。映画ではろくに説明がないが、サイトで見
ると、どうやら自閉症らしい。しかしながら一方で彼女は目で見たカンフ
ーをそれだけで体得するという異能の持ち主でもある。もう一つは母親
が重い病気にかかってしまったことだ。こちらも映画では一切の説明が
ないが、投薬を始めたとたんにぐいぐいと容態が重くなり、髪の毛が抜
ける。どうやらガンらしい。少女は薬代を手に入れるために、母親が
ヤクザ時代だったころの借金を取り立てに回るようになる。
取り立て相手はどれもこれもごろつきで、しかもその部下はなぜかみん
なカンフー使いであり、それぞれの工場や職場でカンフーによる借金争
奪戦が始まる。
ま、このシーンは手を変え品を変えのアクションシーンであるので、ちょうど、
格闘アーケードゲームの実写版を見ているような感覚に陥る。アクション
のみに恍惚とできる観客はよいが、アクションが延々と続くので食傷気味
だ、それがどれほど肉体を駆使した、気合いの入ったアクションだろうと。
物語はここで終わらない。問題は取り立てている金が母親だけのもので
はなく、かつての情夫のものでもあることだ。そこで、これまで嫌がらせを
していた、妙に粘着質のタイヤクザが登場する。かつての阿部寛の敵役
である。この男、彼女の嫌がらせを延々とするのだが、何をしたいのかが
わからない。本人もわかっていないのではないか?ただ彼女をいじめたい
だけなのかもしれない。最初は取り戻したいのかとも思っていたが、病気
の治療をさせるでなく、挙げ句の果てに銃口を突きつけるにおよび、性格
破綻者としか思えない。
そして、そのボスキャラをめぐり、阿部寛も途中から乱入して大立ち回りが
始まるのである。
まぁ、ひどい映画である。
アクションに力を入れる割には、人間の動きがわかっていないのではないか
と首をかしげたくなる。動けば疲れるし、やられればダメージが蓄積される。
格闘ゲームと人間の違いは、ゲームは生命レベルがゼロになるまで平気で
ゼロになったとたんに死ぬ、ピンピンコロリだが、普通の人間は一定以上
のダメージを受けるとがくんと動きが鈍くなってくる。この映画にはそういっ
た配慮がないので、やられたはずの人間がゾンビのように生き返ってくる。
阿部寛もなますに切られたくせにしばらくすると生き返って大立ち回りで
ある。事ここに至ってはコメディですらある。訳がわからないのはラスト
シーン。あの阿部寛の独白に納得して、「うんうん、よかったね」と思える
観客は万に1人もいないだろう。そもそもお腹を銃で撃たれて、立てなか
ったのにいつのまにか参戦していた彼女の世話役のデブはどこに行って
しまったのか?タイで無事にいることを願わずにはいられない。
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