November 08, 2009

映画評 バタフライ・エフェクト3

お勧め度 ★ ★ ★

バタフライ・エフェクト(もちろん初作)の7掛けくらいの出来である。

主人公は時間跳躍ができることを利用して探偵を行っている男。
これまでと違うのは、主人公が時間跳躍のからくり、といわないまでも時間跳躍
とその実施方法を知っていて、妹という協力者がおり、いろいろアドバイスをして
くれるその道の教授もいることだ。

比較的穏やかな生活営んでいた主人公だが、かつて殺された彼女の真犯人を
捕まえるために時間跳躍を行ったことで、話がおかしくなってくる。修正をしようと
時間跳躍をするごとに主人公の身の上は落ちぶれていき、殺される人間が増え
ていく。

どうにもならない悪循環はこの手の映画の真骨頂であり、おもしろく見れる。
最後の謎解きも比較的意外なところでおちついている。
うまくできてはいるが、さほどおもしろいか、と言われると疑問符がつく。

よくわからないと言うか、意味不明なのは、
・ラストシーンは何を暗示しているのか?暗示していない可能性が高いと
 思われるが。
・行くたびにちゃんと懐中電灯などをもっているのはなぜだろう。
・最初のシチュエーションでは妹は自分の秘密を知らないのに、そういう
 設定(謎解き部分)なのはおかしいのではないか?
・バーのねえちゃんは殺される必要がなかったのになぜ殺されたのか?

などなど、やはり消化し切れていない、(自分がというよりも制作者側が)
映画のような印象を持つのである。

http://butterflyeffect.heteml.jp/
20091004134711


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October 31, 2009

映画評 レスラー

お勧め度 ★ ★ ★ ★ ★

ちまたでは、ミッキー・ロークの姿と本編の主人公がだぶっているのも話題となり、
評価の高い「レスラー」であるが、いまさらながらに視聴。結論としては、たしかに
よい作品である。
映画評である以上、何がどうよいのか、表現する必要があるが、まずもっての良さ
は、その抜群のリアリティである。

ミッキー・ローク演じる主人公のランディは、ラムジンスキーという本名から察するに、
出は東欧かスラブの人間だろうか。80年代にはマディゾンスクエアガーデンを満員
にする人気絶頂のプロレスラーだったのだが、引退せずになぜか今も現役のプロ
レスラーである。旬をすぎているので、お呼びのかかるハコは小さいものばかりで、
ゆうなればドサ回り。しかも、正統派プロレスだけではなく、流血だらだらのインデ
ィーズ的なマッチもこなしている。それでも、リングからの収入は生活を営めない
程度のため、試合のない平日は、近所のスーパーで荷物運びをやっている。住まい
は、トレーラーハウスで、家族はなし。娘が一人いるが、まったくもって疎遠。お金が
入ってやることといえば、ちかくのストリップバーにいくことぐらい。そこの踊り子に
惚れているが、大したアプローチはできない。冬がちかずくと、あちこち破けたところ
にガムテープを貼ってごまかしながらぼろいダウンを着込んで動き回る。

アメリカの低所得者の生活が驚くほど丁寧に描かれている。それだけではない。
ランディがこだわるしょっぱいプロレスもこれまたものすごいリアリティ。試合前の
段取りから、実際の試合、そして試合後の敵味方のギミックを取り払ったレスラー
同士の交歓までが丁寧に描かれている。主人公の必殺技のラムジャムはトップ
コーナーからのダイビングヘッドパットなのだが、トップコーナーにのぼるときの、
足のふらつき具合といったら。

さて、この主人公であるが、試合後に心臓発作を起こし、とうとう、プロレスのでき
ない体になってしまう。プロレスからの引退を決意し、これまでは試合のあった
週末もスーパーで働き始める。娘との和解を何とかしようと、不器用に立ち回る。
ストリップ嬢との恋を進展させようと、これまた中途半端なアタックをする。見て
いて「おまえ、お金は大丈夫なのか?」と言いたくなる。それほどの困窮生活だ。

しばしば、プロレスにはまるとやめられない、ということを聞く。どんなに体をぼろ
ぼろにしようとも、プロレスを続けてしまうのだそうだ。
プロレスをこれまで続けてきた主人公もそのたぐいの人種であるが、結果として
プロレスを続けられなくなって、彼は果たして第二の人生を構築できるのであろ
うか・・・。


基本的な流れとして、常に右肩下がりで、将来に対する展望もほとんどないため、
見ていてつらくなります。従って、そのような状況に置いて彼の下した結論という
のは、自暴自棄であれ、なんであれ、それなりに納得のいくものです。たとえ、
今回、心臓が止まらなかったとしても、その先、筋肉増強剤を打ち、過度の運動を
する彼には心臓が止まるしか、終わりのくることはない。したがって、可能性が
見えてきたストリップ嬢との恋の行方も、結局は悲劇で早晩終わるしか道が残
されていない。そんな余韻を持たせながら、エンディングのブルース・スプリング
スティーンが、これまた効く。この映像の後だからなおさら。

自分に対する楽観的な希望をひとつひとつそぎ落とし、その結果、
「俺ってこの先もこんなもんかな」
と思うことがあるなら、
そんな年齢・時期にさしかかっているのなら必見である。


http://www.wrestler.jp/
P0920


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October 13, 2009

映画評 空気人形

お勧め度 ★ ★ ★ ★

 冒頭のシーン。車窓の先に見える道はぐるぐると回っている。乗り物も
その道にあわせて回っている。どうやら乗り物もその道に沿っているようだ。
こんな回るところはどこかな、この乗り物はなにかな?と考えていると、
思い当たる。
 あぁ、これはお台場に向かう道で、レインボーブリッジだと。乗っている
のはゆりかもめだ。そして、さえない顔をして乗っているファミレス店員の
板尾は、そこからどう帰るのだろうか、佃の対岸である湊の安っぽい、
小汚いアパートに住んでいる。家に帰ると、彼はコンビニ弁当を食べ
ながら人形に話しかける。そして、人形を抱いて、人形を洗って、人形と寝る。

 題名の空気人形とは最近は「ラブドール」などという犬みたいな名前でも
呼ばれているらしい、ダッチワイフだ。
 物語は、このダッチワイフがなぜか、心を持ち、命を持ったことから始まる。
生き始めた人形はアパートの外にでる。そして人々に会う。世間の事件を
自分が犯人であるかの様に語る老婆、代用教員として生き、一人で艶や
かな対岸を眺める老人、老いにあがらう受付嬢、拒食症の女性、父子家庭
の女の子。
 そして、レンタルビデオ屋で彼女は働きはじめ、そこでバイトするアラタに
心を寄せ始める。と、同時にこれまでは意識しなかった、自分の持ち主で
ある板尾に対する嫌悪感を感じ、性欲処理道具である自分という存在に
ついて見つめ始める。

 結論からいうと、マンガではなく映画の話でいうならば、「自虐の詩」より
は数倍優れた作品だ。なによりも作品の中に業田色が色濃く残っている。
そしてそれを損なわずに映像化している。

 たとえば、人形の述懐。そしてちょっとやりすぎだが、オダギリ・ジョーが
人形と再会したときのせりふ。
 また、人形に命が灯るシーン。人間ぽい人形が人形ぽい人間に見えて
くる様が見事。この女優は美人ではないが、見事な演技。
 穴があいてしまった彼女に空気を吹き込むシーン。なんとも官能的だ。
 秘密を条件に肉体関係を求める店長に応じているシーン。自らを機能と
して受け止めつつ、無期質的になっている姿がこれまた。そしてその後の
シーンの生々しさときたら。燃えるゴミと燃えないゴミの複線も見事。

 拒食症の女性とか必要性のわからない役、事態がわかったときの板尾
の驚きというか驚かなさの違和感。アラタのいたがらなさ。など不可思議な
点もあるが、それを補ってあまりある作品。
 さみしい、空虚なひとりぼっちがいっぱい集っている作品である。つかの間
の間、彼女の世界は中央区と江東区のごく一部であった。その中で彼女は
喜怒哀楽し、心を持ったことによるやるせなさがそこかしこに転がっていて、
その中で、彼女のつかのまは本当につかの間であるが、きれいな景色を
現出させている。

 舞台が湊である以上、この映画を見るのは豊洲がもっともふさわしい。

 余談になるが主人公の人形を演じるペ・ドゥナである。彼女はスレンダーで
結果して貧乳ではあるが、それでもなお豊胸しているような形に自分には
思えた。
 作中で空気人形のことを「性欲処理の代用品」と表現しているが、この点
について違和感あり。果たして代用品なのだろうか?と。

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August 31, 2009

映画評 サマーウォーズ

お久しぶりです。

お勧め度 ★ ★ ★ ★

「時をかける少女」がよかったので、こちらも見てみた。

結論;こちらもよい。「時をかける少女」×0.9くらい。

そして、感想。

この監督、若者を描くのがうまい。若者にとって、思春期にとって、
やはり夏は、常に「特別な夏」でなければならないと思う。
なにもなく、夏が終わろうとしている現在を振り返ると、ことさらに
そう思う。

この話の登場人物達にとっては、老若男女にとって、とてつもない
「特別な夏になった」。なんといっても世界を救済するのだから。
あろうことか、世界を壊す元凶と世界を救うかもしれない人間が信
州の上田に親戚の集いとして集まっているのだから、笑える。

ことの事態の重要性と、そのことを理解しない人々、さらにはせっぱ
詰まった状況においても日常性が入り込めるのがアニメの良さだ。
ハリウッド映画ならば最後は延々と30分はフルスロットルにな
って観客もグダグダに疲れてしまうことだろう。このアニメはその点を
特にうまく表現している。うまく表現しているので、「学校1の美女が、
自分の恋人のフリをしてくれと頼んでくる」などという、常識を持って
いなくてもよもや書かないであろう設定も何となく許せるような気が
するからこれまた不思議である。

さて、物語は、高校生の先輩(美人)から田舎帰りの手伝いに
誘われることから始まる。設定されている舞台は、若干の近未来
というところか。OZという仮想世界を構築する、なんだろう、よく
わからんがセカンドライフのもうちょっと現実世界とのつながりが
強いようなもの?(というのも、あらゆる社会活動がOZのフォー
マット上で管理されていたりするので)が行き渡っている一方で、
上田の田舎はいつまでたっても田舎のままで、両者が両立して
いるのが妙にリアルだ、もちろん、でてくる高校生はやはり高校生
だし。話を逸らすと、このOZという仕組みがどのようなものなのか、
オープニングにて説明するのだが、これがなんともうまい。
分かりやすい。

さて、主人公達は本家の祖母の誕生日祝いに暢気に向かうの
だが、その一方で、OZとやらの仮想世界では、「好奇心」を埋め
込まれた人工知能が、暴走を始め、様々なインフラに深刻な
影響を与え始めていた・・・

世界を救う鍵を握る主人公は明らかに天才だが、「数学オリンピック
の日本代表になり損なった」という設定が、見る側に親近感を
多少ではあるがもたらしている。うまい設定。
しかしながら、やはり、特別な人間か、といえば特別な人間。
後半は超人的ですらある。そして、特別な人間には、特別な人間
だけが見える景色がある。ペンタゴンや世界中のPC専門家が
何をしていたのか知らないが、そんなスーパー頭脳でなく、別の
理由で集った上田の彼らが世界を救う。そして、近所ですら
そんなことがあったとは、気づきもしない。

今回は親戚一同、7人の侍よろしく各わき役がいい仕事をしているが、
やはり鍵を握るのは一部の人間である。「特別な人」「一部の人間」。
映画の主題とは関係なく、そんなところに意識が行ってしまった、
四六時中凡人の立場として。
もっと作品に関する感想としては、作中でたまに使われる、
「まだ負けてない!」
単純だけど良い言葉です。

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July 20, 2009

豊洲 太陽のトマト麺 豊洲店

江東区豊洲4-2-2
年中無休
03-5547-8214

豊洲にある有名ラーメン店の支店、らしい。

ららぽーとに行ったついでに、訪問。というのも、ららぽーと内には気の利いた
飲食店が入っていないため、暑い中こちらに行ってみた。場所は豊洲の駅前
からビバホームに向かい、ビバホームに着いたらその信号の反対側あたりだ。

カウンターだけのいかにもラーメン屋の構造。しかしながらメニューをみると、
夜は居酒屋になっているらしく、棚には「トマトのお酒」がボトルキープされて
いる。店内は、火を扱って鍋がぐらぐらいっているだけに暑い。汗をかきなが
ら待っていると、10分弱で注文した太陽と茄子のラーメンが到着した。

P7040049

なるほど・・・たしかに赤い。連れは知識不足から、麺が赤いのかと思っていた
そうだが、汁が赤い。飲んでみると・・・トマトソースって感じ、当たり前だけど。

麺はこれまた細麺でまっすぐ。連れの感想としては、入れたチーズがみんな底に
沈んでしまうので、皿は浅い方がいい、とのこと。
なーるほど、ってそれではただのスープスパである。

要は、なんであえてラーメンなの?という疑問に答え切れていない味なのだ、
ということだと思う。

まずくはないし、近くに行くことがあったらまた食べてみたい。トマトのお酒は
夜行くことがあったら飲んでみたい。
つまりは、話のネタに一度行く店ではないだろうか、気に入ったらそこから先は
各人の努力次第で訪問回数は変わるということかな。

雰囲気  ★ ★ ★ (らーめん屋)
味     ★ ★ ★
C/P   ★ ★ ★
サービス ★ ★ ★ (ラーメン屋のサービス)
ディープ度★ ★ ★ ★

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July 12, 2009

佃にあるけど  月島ロック

月島ロック

〒104-0051 東京都中央区佃2-16-7 地図
TEL 03-3532-3172

火曜-金曜 11:30-15:00/18:00-24:00
土曜、日曜、祝日 11:30-20:00
月曜定休

月島カフェに店の名刺があったのを見つけて訪問。場所は月島駅の6番出口に
近いところで、こんなところにあったのか・・・と驚き。店は入り口に段差があるが、
奥まで長いカウンターの店で、構造としてはラーメン屋。全体はウッディなインテ
リアで、生ビールのサーバーもあり、その辺のラーメン屋とは一線を画している。

さて、そんな月島ロックに、休日の15時頃、小腹が空いたので訪問してみた。
昼時ではないが、食事メニューはあったので、「月島ロック」というラーメンと
「牛筋煮込みカレー」を注文。

月島ロック;醤油味のラーメン。麺は細身でまっすぐ。表面にはけっこう油が
       浮いているがしつこさは感じない。具は写真の通りで玉子とか
       豪勢だが、問題はチャーシュー。およそチャーシュー本体の7割が
       脂身で、それもプリプリした脂身である。とてもすべては食べられ
       ない。一口でギブアップ。
       このチャーシューを何とかすれば、ふつーに食べられるラーメン。
       850円
P6270042

牛すじカレー;見た目は緩いキーマカレー。味も牛筋がどのあたりを表現して
       いるのかは判別しがたい。結果、何ともよくわからない、というか、
       まるでお得感のないカレーになっている。味は可もなく不可もなく、
       という表現しか思い至らない、困ったことだ。
       850円
P6270043

以上をあわせると、目指していく店である、という結論にはどうみてもたどり
着かない。ロケーションはなかなか便利なところにあるだけに、今後に期待は
したいのだが・・・。

雰囲気  ★ ★ ★ ★ (ラーメン屋とは思えない清潔感)
味     ★ ★ ☆
C/P   ★ 
サービス ★ ★ ★
ディープ度★ ★
 

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June 28, 2009

映画評 おくりびと

お勧め度 ★ ★ ★

公開当時からみたかったが、観る機会を逸していた。アカデミー賞を
受賞したおかげで映画館で再び上映される運びとなり、その機会を
とらえて見に行った。

おおざっぱな感想をいうと、いい映画だけどなんか変ね、という感想
になる。所々気になるけどいい映画だね、とならないのは、アカデミー賞
の影響によるものだろう。

納棺士という職業が今もあるのかどうかは知らない。しかし、本木は
よく演じている。「死」を映画として取り扱うというのはなんとも反則技
であるが、それぞれのシーンでほろっとさせられてしまうのもまぁ事実。
とはいえ、なんとも、すっきりとはしないのである。なにがすっきりしない
かといえば、父親に対する悲しみ。そうなのかな~。そんなに簡単では
ないでしょう。この人の人生ってなんだろう?と考える一方で、それより
も自分の人生に悩んでいたのではなかったっけ?あからさまな職業
差別的な発言は周りからはなくなったのかな?

それから奥さん役。広末の演技力は「??」であるが、人物造形が
おかしい。これでは性格破綻者である。「けがらわしい」という言葉は
常軌を逸しているし、「子供ができたの」と、のうのうと家に戻ってくるのも
信じがたい。奥さんと和解して、よかったね、ではなく、これから大丈夫?
これでいいの?とかえって心配になってしまうのである。

映画と一緒でなんともとりとめのない感想になりました

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June 14, 2009

映画評 チョコレート ファイター

お勧め度 ★ ★

出演者と制作者、両者の情熱のみ評価される作品。
主人公の少女は見た目もよいし、アクションもすばらしいが、話自体は
破綻しており、こういう映画を見ると、他の映画がいかに、シナリオとし
て破綻していないかがしみじみと感じられる。「人間って、こんなふうな
動きができるんだ~」という楽しみをしたい人以外には見る価値のない
映画。これを見て、今さらながらスタートレックの評価を上げたくなった。

主人公の少女は、阿部寛とタイのヤクザの女の間に生まれたハーフだ。
阿部寛は抗争にケリを付けて日本に帰国してしまい、女はヤクザの元
を離れ、少女と2人つましく暮らしている。ところが、この親子には安穏
とした暮らしを維持するにはいくつか障壁が存在する。1つには少女が
知的?障害児であることだ。映画ではろくに説明がないが、サイトで見
ると、どうやら自閉症らしい。しかしながら一方で彼女は目で見たカンフ
ーをそれだけで体得するという異能の持ち主でもある。もう一つは母親
が重い病気にかかってしまったことだ。こちらも映画では一切の説明が
ないが、投薬を始めたとたんにぐいぐいと容態が重くなり、髪の毛が抜
ける。どうやらガンらしい。少女は薬代を手に入れるために、母親が
ヤクザ時代だったころの借金を取り立てに回るようになる。

取り立て相手はどれもこれもごろつきで、しかもその部下はなぜかみん
なカンフー使いであり、それぞれの工場や職場でカンフーによる借金争
奪戦が始まる。
ま、このシーンは手を変え品を変えのアクションシーンであるので、ちょうど、
格闘アーケードゲームの実写版を見ているような感覚に陥る。アクション
のみに恍惚とできる観客はよいが、アクションが延々と続くので食傷気味
だ、それがどれほど肉体を駆使した、気合いの入ったアクションだろうと。

物語はここで終わらない。問題は取り立てている金が母親だけのもので
はなく、かつての情夫のものでもあることだ。そこで、これまで嫌がらせを
していた、妙に粘着質のタイヤクザが登場する。かつての阿部寛の敵役
である。この男、彼女の嫌がらせを延々とするのだが、何をしたいのかが
わからない。本人もわかっていないのではないか?ただ彼女をいじめたい
だけなのかもしれない。最初は取り戻したいのかとも思っていたが、病気
の治療をさせるでなく、挙げ句の果てに銃口を突きつけるにおよび、性格
破綻者としか思えない。

そして、そのボスキャラをめぐり、阿部寛も途中から乱入して大立ち回りが
始まるのである。

まぁ、ひどい映画である。
アクションに力を入れる割には、人間の動きがわかっていないのではないか
と首をかしげたくなる。動けば疲れるし、やられればダメージが蓄積される。
格闘ゲームと人間の違いは、ゲームは生命レベルがゼロになるまで平気で
ゼロになったとたんに死ぬ、ピンピンコロリだが、普通の人間は一定以上
のダメージを受けるとがくんと動きが鈍くなってくる。この映画にはそういっ
た配慮がないので、やられたはずの人間がゾンビのように生き返ってくる。
阿部寛もなますに切られたくせにしばらくすると生き返って大立ち回りで
ある。事ここに至ってはコメディですらある。訳がわからないのはラスト
シーン。あの阿部寛の独白に納得して、「うんうん、よかったね」と思える
観客は万に1人もいないだろう。そもそもお腹を銃で撃たれて、立てなか
ったのにいつのまにか参戦していた彼女の世話役のデブはどこに行って
しまったのか?タイで無事にいることを願わずにはいられない。

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June 08, 2009

映画評 スタートレック

お勧め度 ★ ★

 自分は日本ではあまりいないと思われるトレッキーの1人である。
しかし、スタートレック全般が好きなわけではなく、DS9を偏愛する
トレッキーなのである。
 
 なぜDS9を偏愛するかの理由はさておき、自分がスタートレックが
好きなわけは、それはスタートレックがアメリカのよきリベラルを体現
したドラマだからである。あれを観れば、いわゆる学生街のその時々
の主流たる思想が見て取れる。世相の半歩先を行っているのである。

 TOSではクルーの1名だった黒人はDS9ではDS9の責任者となり、
まさにオバマの先駆け。先立つこと約10年の見事さである。ちなみに
前後して放映されたボイジャーでは船長は女性で、これまたクリントン
の先駆けである。

 しかるに、本作は、新キャラではなくカークでありスポック。冷戦時代
の設定なのである。本作は全くの新しい話として展開しているので、
登場人物以外、絡むところがなく、その点では今後どうにでもなる素材
ではあるが、いかんせん登場人物の属性設定が古い。これではなか
なか時代の先取りとは行かないだろう。実際、映画はほとんどアクシ
ョン映画である。

 今となっては古色蒼然のオリジナルシリーズであるが、そのオリジ
ナルシリーズを換骨奪胎するために映画ならではの工夫もある。服装
などがそれだ。宇宙戦艦ヤマトの制服が子供心にとても格好よかった
のに今となっては、いじめに近いデザインであるように、スタートレック
の制服も今となってはあり得ないくらいにかっこうわるい。今回の映画
版では、格好の悪さは相変わらずであるが、オリジナルファンにも怒ら
れず、一方で知らないで観る人間にも違和感を軽く感じさせる程度の
微妙なデザインや素材の質感の変更を行っており、なんとも苦労が忍
ばれる。

 日本公開にあたって、最も問題なのは、観客の知識だろう。ロミュラン
とバルカンの関係について映画を観る観客のうち1割も知っているの
だろうか?最後の台詞が、スタートレックの有名な出だしとわかる観客
がどの程度いるだろうか?知らないでも楽しめる、とはいえ、アメリカ
ではこれを見る人は、ごく基礎的な知識として、ダースベーダーとルーク
が親子であるのと同じくらいの当たり前のこととして認識しているのと
では明らかな差がある。その点で、やはり日本人にとっては不親切な
映画なのである。これを大々的に宣伝する配給元は、商売ではあるか
らしょうがないが、やはりこれまた不誠実であるとも言えよう、ベースが
あって楽しめるものなのだから。そしてそのベースはターミネーターの
ように3本映画を観ればだいたいわかるのとは訳が違うのだ。

 そんなわけで、この映画は、数少ないトレッキーのこれまたオリジナル
シリーズファン向けの映画だ。そうでなければ、膨大なDVDをこれから
購入して、比較的地味なスタートレックを好きになって勉強しようという
奇特な人のための映画である。
 ちなみに、映画は以上をクリアした人間が見ればそこそこおもしろい。

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May 25, 2009

映画評 スラムドッグ$ミリオネア

お勧め度 ★ ★ ★

 アメリカにいるとき、パセリに付いたキアゲハの幼虫(青虫)を育てたことがある。
キアゲハどこにいてもキアゲハで、同じ植物の葉を食べ、同じようなさなぎになり、
同じ模様の蝶になった。それに引き替え、人間の世界に拡散し、その食べ物や
生活様式の多様さといったらどうだろうか?本作品を観て、そのような全く関係ない
感想を持った。

 主人公(ジャマール)は兄のサリムと共にボンベイの貧民街に住んでいた。
インドでは有名な事件なのだろうか?ヒンズー教がイスラムのインド人を襲撃し、
2人は孤児となり彼らに付いてきたラティカという同世代の少女3人で乞食になる。
彼らはやがて、子供を乞食に仕立ててピンハネをするママンという悪党の元へ
連れて行かれる。

 歌のうまい少年は目をつぶして盲目の乞食に、少女はやがては売春婦に仕立
てるのだ。事態を飲み込み、逃げた3人だが、はなぜかサリムが飛び乗った電車
からラティカに伸ばした手を離したことによりラティカはそこの連中に捕まり、
兄弟は電車で街を離れる。それから兄弟は、盗みや詐欺を繰り返して生きていく。

 ラティカの事が忘れられないジャマールは、割のいい観光地のタージマハル近辺
での暮らしを捨てて、名称がムンバイになった旧ボンベイに戻ってくる。ムンバイで
盲目の乞食に出会ったジャマールは彼からラティカの居場所を聞き出し、兄と共に
彼女を救う。もとから凶暴性を身に持っていた兄は、やってきたママンを撃ち殺し、
庇護を求めるために地元のヤクザの元へ、そしてついでにジャマールから美しい
少女となったラティカを奪ってジャマールの前から姿を消す。

 ジャマールはラティカがクイズ番組ミリオネアを観ていたことを知っていたため、
彼女とのコンタクトをとるために番組に出場する。

 本作品は彼が番組において、無学問なのにも関わらず、次々と難問をクリアして
ミリオネアとなったシーンから始まる。なぜ彼が1000ルピーの肖像も知らないのに
アメリカ百ドル札の肖像が誰なのかをしっているのか?なぜ彼がラーマ王子の右手
に持っているものが何なのかを知っているのか?それらは回想シーンとして出て
くる。彼の人生での経験がたまたまこれまでのクイズ番組の構成と合致している
様がそこから判明する。さて、最後の問題、これに答えれば彼の賞金は倍になる、
そして番組をどこかで観ているはずのラティカとは会えるのだろうか~。

 オスカー8部門をとったほどの作品とは思われないが、確かによくできてはいる。
中身に沿った疑問を提示してしまうと、なぜ、非人間的な側面を多くかかえる兄貴は
最後になってそういう気分になったのだろうか?
 最後に踊りが出てくるところに本来のインド映画を感じる。できれば、登場人物で
踊ってほしかった。

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